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10 nHのインダクタと1 pFの並列容量を仮定し、100 MHzと1 GHzのリアクタンスを比較。
独立した無損失モデルです。100 MHz/1 GHzで、理想Lは6.283/62.832 Ω、並列LCは6.308/103.817 Ω。計算上の共振は約1.592 GHzです。実測値や実部品の共振Qの予測ではありません。

RFインダクタの選定:Q・自己共振・測定条件

RFインダクタのQ、自己共振、使用帯域のインピーダンスを比較。仮想計算と、治具・直流重畳・温度を含む測定条件から選定手順を確認します。

RFインダクタは、公称インダクタンスだけでは選べません。使用帯域でのインピーダンスと損失を、実装条件に近い測定条件で比較する必要があります。まず回路内の役割を明確にし、そのうえでQ、自己共振周波数(SRF)、電流に関する条件を決めます。

1. 回路の役割から必要条件を決める

整合回路や選択性を持たせたフィルタでは、リアクタンスを予測できることが重要です。一方、直流給電経路のチョークは、RF信号を電源側から分離するためのインピーダンスを確保する部品であり、共振付近のインピーダンスのピークを利用できる場合もあります。Coilcraftの選定資料も、この違いを説明しています[R1]。

同資料は、整合回路や高次フィルタについて、SRFを使用周波数の10倍以上とする目安を示しています。これは検討の出発点であり、性能保証でも、すべてのチョークへの共通要件でもありません。最終的には許容する不整合、挿入損失、帯域幅から判断します。「SRFが使用周波数の3倍以上」という一律の条件でも、これらの性能は保証できません。

使用帯域、目標インピーダンスまたはインダクタンス、許容変動、信号レベル、直流重畳、熱環境を先に記録します。パッケージや基板への実装も、電気特性の評価に含めます。

2. Qは使用周波数で確認する

インピーダンスが誘導性を示す領域では、Qは虚部と実部の比で表せます[R1]。小信号の直列等価回路では、リアクタンスと実効的な直列抵抗の比になります。以下は仮定に基づく計算例であり、実在部品の仕様や実測値ではありません。

Q = Im(Z) / Re(Z) = X_s / R_s
f = 100 MHz; L_s = 10 nH; Q = 50
X_s = 2πfL_s = 6.283185… Ω
R_s = X_s / Q = 0.125664… Ω

Qを50と仮定すると、100 MHzでの実効的な直列抵抗は約0.126 Ωです。この抵抗は、その周波数で等価回路に含まれる損失を表し、巻線の直流抵抗DCRとは異なります。回路の電力効率を示す値でもありません。異なる周波数、直流重畳条件、治具で測ったQを、そのまま順位付けに使わないでください。

必要なQは、回路で許容できる損失と帯域幅から決めます。RF回路やマイクロ波回路すべてに共通する合格値はありません。表の単一値に加えて、メーカーの周波数特性や検証されたモデルを確認します[R2]。

3. 自己共振からモデルの限界を考える

損失のないインダクタに寄生容量を並列接続したモデルでは、共振より低い周波数から見かけのインダクタンスが変化します[R3]。以下は、先ほどのQの計算とは独立した別の仮想例です。

L = 10 nH; Cp = 1 pF; ω = 2πf
f0 = 1 / (2π√(L Cp)) = 1.591549… GHz
Z_LC = jωL / (1 − ω²L Cp)
L_eff / L = 1 / (1 − (f/f0)²)   (0 < f < f0)

f0より低い領域で計算したリアクタンスを示します。偏差は同じ周波数での理想インダクタを基準とし、数値は丸めています。

周波数理想Lのリアクタンス並列LCモデルのリアクタンス偏差
100 MHz6.283 Ω6.308 Ω0.396%
1 GHz62.832 Ω103.817 Ω65.230%

SRFに対して3倍の余裕を取る場合も、同じモデルで確認できます。

f = f0/3
L_eff / L = 1 / (1 − 1/9) = 1.125
(L_eff / L − 1) × 100% = 12.5%

共振周波数の3分の1でも、このモデルの実効インダクタンスは12.5%増加します。ただし、実在部品の許容差を一律に予測する式ではありません。f0でインピーダンスが発散するのは理想化によるもので、実部品では損失と追加の寄生成分がピークを制限します。損失のないモデルから、共振時の実部品のQや損失は求められません。

SRFは治具や実装環境の影響も受けます。Coilcraftの測定資料は、基板容量、治具の影響、異なる測定系で得たSRFの比較を扱っています[R3]。カタログの数値だけでは、実装後の回路全体を表せません。

4. 測定条件を追跡できる形で残す

正確な型番と資料の版、測定周波数または掃引範囲、励振レベル、直流重畳、温度、測定器、治具、校正またはディエンベディングの基準面を記録します。インダクタンスの許容差には、適用される測定条件も併記します[R2]。

Sパラメータを使う場合は、ポートインピーダンス、治具除去の範囲、モデルの有効帯域を確認してからインピーダンスに変換します。ランド、グラウンドの帰路、近傍の導体も実装評価に含めます。共振付近の差が、部品そのものではなく測定や実装の境界条件から生じる場合もあります[R3]。

5. 候補を絞り、実装状態で検証する

  1. 公称インダクタンス、許容差、パッケージを回路要件と照合します。
  2. 使用帯域全体のインピーダンスとQを、比較可能な条件で確認します。保証限界と代表特性を区別します。
  3. 直流重畳、信号電流、DCR、温度上昇、メーカーの電流定格の定義を確認します。QやSRFだけで電流容量は判断できません。
  4. 適切なメーカーモデルと実装寄生成分を用い、回路に応じて不整合、挿入損失、チョークの分離性能を解析します。
  5. 実装した回路を、想定する重畳電流、信号、温度の範囲で測定し、試験条件と合否基準を残します。

電流定格の読み方はインダクタのパラメータ解説、材料の損失や直流重畳の読み方は磁性材料の比較で説明しています。材料名から部品の定格を直接推定しないことが大切です。

6. 参考資料と改訂内容

資料確認日:2026-10-30。2件のHTML資料は取得した本文で明確な改訂版を確認できていません。確認日は公開日を意味しません。

2026-10-30改訂:一律のQ・SRF基準と裏付けのない性能表現を削除し、出典に基づく選定手順と再計算できる仮想例に置き換えました。製品試験や独立した技術承認を受けたとは述べていません。用途に応じた実装評価は別途必要です。

発行者

Mag Coil

2025/05/30

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