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降圧インダクタ電流の計算上の二周期。平均値、ピーク値、ピーク・ツー・ピーク値を表示。
理想CCM、入力13.2 V、出力5 V、負荷3 A、500 kHz、一定の5.44 µHを仮定。リップル1.142 A、ピーク3.571 A、実効値3.018 A。初期許容差のみを考慮した計算であり、実測や採用部品の検証結果ではありません。

降圧電源のインダクタ選定:リップルと電流定格

降圧電源のリップル、ピーク電流、実効電流を計算し、許容差、直流重畳、温度上昇、コントローラの制限を確認します。

スイッチング電源のインダクタは、動作中のインダクタンス、電流波形、放熱条件を合わせて選びます。公称µHと一つの電流定格だけでは判断できません。ここでは降圧回路を例に、必要なインダクタンスを半分に見積もってしまうリップルの定義ミスも修正します。

回路方式とリップルの定義をそろえる

計算の対象は、理想的な降圧コンバータの定常状態です。連続導通モードCCM、固定スイッチング周波数、線形で一定のインダクタンスを仮定します。この条件ではインダクタの平均電流は出力電流と等しくなります。昇圧、反転昇降圧、不連続導通、磁気結合を用いる多相回路には、それぞれの式が必要です。

オン期間にインダクタへ加わる電圧はVin − Vout、理想的な還流期間は−Voutです。vL = L × di/dtをオン期間で積分すると、ピーク・ツー・ピーク値ΔIppが得られます。本文のΔIppは常に最大電流と最小電流の差を表し、片振幅ではありません。

D = Vout / Vin
ΔIpp = (Vin − Vout) × D / (f_s × L)
L = (Vin − Vout) × D / (f_s × ΔIpp)
Ipk = Iout + ΔIpp / 2
I_L,rms = sqrt(Iout² + ΔIpp² / 12)

実効値は、直流成分に三角波リップルが重なった電流の二乗を一周期で平均して求めます。バースト動作や過渡波形には、そのまま使えません。TIのSLVA477Cの2–3ページに、CCMのリップルとピーク電流の計算が示されています。本文のデューティ比は理想値であり、TIが効率を含めて示す推定式とは区別します。

12 Vから5 Vへの計算をやり直す

入力10.8–13.2 V、安定化した出力5 V、負荷3 A、固定周波数500 kHzを仮定します。計算上の設計目標として、公称入力12 VでΔIppを0.9 Aとします。これは仮定に基づく計算例であり、実測結果でも、検証済み部品の推奨でもありません。

Vin = 12 V; Vout = 5 V; Iout = 3 A
f_s = 500 kHz; ΔIpp,target = 0.9 A
D = 5 / 12 = 0.416667
L = (12 − 5) × (5 / 12) / (500000 × 0.9)
  = 6.481481… µH

ΔIppをピーク・ツー・ピーク値と定義した場合、分母にさらに2を掛けてはいけません。旧稿ではこの操作で約3.24 µHとした後、ピーク電流の計算でもΔI/2を使っており、定義が一致していませんでした。計算値6.48 µHから公称6.8 µHを候補にしても、そこで選定は終わりません。

入力上限と初期許容差を確認する

入力条件ごとに再計算します。次の表ではインダクタンスを一定とし、直流重畳と温度の影響を含めていません。最終行だけに初期許容差−20%を適用しています。

入力の仮定値インダクタンスの仮定値計算上のΔIpp読み取り方
12 V6.8 µH0.858 A公称条件
13.2 V6.8 µH0.914 Aすでに目標0.9 Aを超える
13.2 V5.44 µH1.142 A初期許容差だけでもさらに増える

したがって、公称6.8 µHで入力全域の0.9 A上限を満たすとは言えません。5.44 µHも動作中の保証最小値ではありません。正確な型番の直流重畳特性と温度特性を確認し、代表値と保証値を区別して、根拠のある動作時インダクタンスで再計算します。周波数が変動する場合は最低周波数も確認します。Coilcraftの選定資料は、カタログ値を測定条件と合わせて読む必要性を説明しています。

飽和と発熱を別々に評価する

ピーク電流からL–I特性とメーカーのIsat判定条件を確認します。発熱は実際の波形の実効値と損失で評価します。データシートのIrmsは、規定の温度上昇試験に対応する電流値であり、この回路の実効電流を測定した値ではありません。定義と測定法はCoilcraftの電流定格資料を参照してください。

表の最終行について、評価温度での巻線抵抗を一定の20 mΩと仮定します。

Vin = 13.2 V; L = 5.44 µH; Iout = 3 A; f_s = 500 kHz
ΔIpp = 1.141934… A
Ipk = 3.570967… A
I_L,rms = 3.018057… A
R = 20 mΩ
P_R = I_L,rms² × R = 0.182173… W

これは仮定した抵抗による損失だけの概算です。周波数に依存する追加の巻線損失と磁心損失は別途評価する必要があり、温度上昇や電源効率までは求められません。TDKのパワーインダクタ解説では、巻線と磁心による損失を分けて説明しています。

通常負荷のピークと故障時のピークも同じではありません。コントローラの保証された電流制限範囲、検出方式、遅延、起動、故障復帰を確認します。制限値の下限は負荷を供給できるかに、上限とオーバーシュートは部品ストレスに関係します。負荷電流に一律の係数を掛けるだけでは代用できません。

候補部品を実機で検証する

  1. コントローラが指定するLと出力容量の範囲、制御方式、位相補償条件を守ります。Lを増やしても常に適合するとは限りません。
  2. 完全な型番、許容差、測定周波数、直流重畳・温度特性、DCR最大値、Isat判定条件、熱試験の実装条件、寸法、温度限界を記録します。
  3. 入出力条件の端点、起動、必要な過渡状態で電流を測定します。プローブの帯域、オフセット、ピーク応答を確認して計算値と比較します。
  4. 予定の基板と筐体で部品温度を確認し、出力リップル、負荷応答、効率、システムのEMIも評価します。公称L、磁気シールド、一律のSRF倍率だけでは結果を保証できません。

用語の確認にはインダクタのパラメータ解説、原理の確認にはインダクタの基礎を参照してください。具体的なコントローラと部品の選定、試作機の合否判定には実際の技術検証が必要です。

参考資料と更新内容

2026-10-29更新:リップルのピーク・ツー・ピーク定義を修正し、根拠のない選定結果を再計算できる降圧例へ置き換えました。飽和、発熱、検証範囲を分け、元のURLと公開日は出典記録に保持しています。AIによる編集上の自己点検であり、母語話者の技術者による独立査読や試作機の測定を実施したとはしていません。

発行者

Mag Coil

2025/05/29

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